問答と学び

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脳内物質のハックは現実にできる?

よくSF小説などで、自分の脳内物質の生成を制御しているシーンに出くわすことがある。一瞬で、強いストレスを消したり、痛みを感じなくしたり、筋力をいつも以上に出せるようにしたりする。SF的には、脳内にナノマシーンを入れておいて、それが上手いこと制御してくれることになってたりする。

 

これはあくまでSFの話で、現実にはまだそこまで科学技術は進んでいない。ナノマシーンの脳内導入は、様々な実験やスタートアップがあるものの、人類への普及という点では、まだまだ端緒についた段階に過ぎない。

 

脳内物質の人工的な制御はまだ完成していないけれど、自然的・動物的な制御については、かなり解明していることがある。ここでいう「自然的・動物的」とは、要するに動物的な日々の生活、例えば起床・睡眠パターンや、食事、運動などの変化によって制御することを指している。

 

以下の本では、ドーパミンなどの具体的に存在する7つの脳内物質を、人手で動物的に制御する方法が示されている。非常に簡単でちょっとお金もかからない、良い方法だらけなのでお勧めだ。

 

 

脳を最適化すれば能力は2倍になる 仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法

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PDCAを回してドーパミンを出し、幸福度を増す

 

ドーパミンがでると、幸福度が増すことが分かっている。

ではどうすればドーパミンが出やすいか?簡潔に言うと、PDCAを回すことだという。

 

ドーパミンは、目標の達成に関係するタイミングで生成される。達成時点だけでなくて、目標を立てた段階でも生成される。目標を立てずに、後で振り返ってこういう目標だったことにしよう、と考えた場合は、うまく生成されない。そのため、細かく目標を事前に立てる習慣をつけることが重要だ。

 

以前から欲しかった高額なものを「自分へのご褒美」としてプレゼントする。これが次の目標の実現のために、大きな意味を持つのです。

 

と本書に書かれている。達成を脳に強くインプットするためには、具体的な報酬を予め設定しておくと、より効果的ということだ。

あまり「自分へのご褒美」を良しとしていなかった人は、これからはトライしてみたらいいだろう。あまり貧乏くさいと、幸福度がよけい感じられなくなりがちなのかもしれない。

 

PDCAを回すことに以外にも、ドーパミンを生成するのに役立つTipsがある。とても簡単な話で、要は運動することだ。

トレーニングのあとだと、身体は疲れているものの、頭は非常にスッキリしているのです。目覚めたばかりのような清々しい状態です。

 

 との通り、身体は疲れるが、脳からは幸福物質が出て、精神的に大変調子が良くなる。そもそも運動は、他の脳内物質、例えばアセチルコリン、セロトニン、エンドルフィンなどの分泌も増やす、万能の活動といえる。ただし運動はタイミングが重要だ。

 

寝る直前、具体的には入眠の2時間前までに運動を終えておかないと、別の脳内物質のアドレナリンが脳に残って睡眠を邪魔してしまう。睡眠中は身体を癒す脳内物質のメラトニンが出る大事な時間帯で、それを邪魔してまで運動する必要は全くない。くれぐれもタイミングに注意したい。12時入眠なら10時までに運動を終える、10時までに寝たいなら8時まで、と各自で計算して、睡眠の質を担保しつつ運動の利益を享受していこう。

やる気スイッチはセロトニンでオンになる

たまに「やる気スイッチが押されない」という表現を目にすることがある。まるで、神のような超越的な存在だけが自分の気分をコントロールしているような表現だ。でも現実はそうではない。セロトニンという脳内物質が、やる気をコントロールしている。そしてこのセロトニンの生成は、自分で工夫することで分泌されやすくなる。

 

まず、自然の摂理として、セロトニンは朝にたくさん分泌され、夜にかけて段々と減るという仕組みがある。朝の方が頭がすっきりしていて、夜はなんだか疲れていることも、セロトニンの分泌量と関係している。

 

朝にこそ、最も重要な仕事を片付ける時間帯だ。満員電車での通勤なんかに費やしている場合ではない。私のオススメは起きたら食事よりも前に、まず家で仕事をすることだ。起床してから2−3時間が最も集中できる時間帯なので、それ以後で少し集中力が切れた段階で、家事を行い、それから通勤する。このようにすることで、仕事のアウトプットが圧倒的に増加するので、ぜひ試してみてほしい。

 

今回はドーパミンとセロトニンの2つの脳内物質について説明したが、本書では他の5つについても解説されているので、興味を持ったら読んでみてほしい。

 

サマリー

・生活のパフォーマンスに直結する脳内物質は、コントロールできる

・幸福度につながるドーパミンは、目標を立てて達成することで生成される。自分でご褒美を設定しておくのもよい。小さな目標でも十分に生成される。

・やる気を出すセロトニンは、朝が最もたくさんある。重要な仕事は、通勤せずに家で起床後すぐに取り組んだほうが、パフォーマンスが圧倒的に増加する

 

 

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