問答と学び

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なぜ民間企業こそが国際的なルール形成に関わるべきなのか

それは、市場そのものの創出を促すからだ。

 

ここでいうルール形成とは、国際標準化だけでなく、産学官のフォーラムや規制関連など、広い意味での活動に関するルールを作り出すことを指している。

 

欧米ではロビーイングにより政治に働きかけ、協同して市場を作ることはよくある。一方、日本ではロビーイングというと、どうしても政府が率先して作ったものを民間企業が黙って従うもの、という印象がまだある。しかし、最近になってようやく注目を浴びてきた。

 

幾つかのキーポイントをここでまとめていきたい

 

参考文献:

 

世界市場で勝つルールメイキング戦略 技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか

世界市場で勝つルールメイキング戦略 技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか

 

 

 

 

 

なぜ民間企業が率先して作らなければいけないのか?→それは作り手にしか分からない暗黙の了解があるから

 

 

 

ルールづくりに参加した者だけが共有している暗黙の了解がある。でき上がったルールを後から読むだけでは駄目なわけだが、それはともかく、国際ルールづくりの現場には日本人であれば到底できないような考え方が渦巻いている

 

 

明文化されたルールと、そのルールの運用は暗黙的に行われることはよくある。やはり、実際に作成時点で参画してこそだ。

 

どのようにして、創出した市場で利益を獲得できるか?→ルール形成の過程から工夫して特定の技術を外し、クローズ化をするとよい

 

ルール形成を行って市場を無事に作れたとしても、各社がその市場で同じ製品を平等に売ったとしたらどうなるだろう?コモデティ化をたどり、利益は得られなくなる。

 

古くはオープン・クローズ戦略で知られているが、特許やノウハウなどで特定の技術(ここではサービスの提供手段くらいに理解してほしい)を他社が使えないようにする。

 

そうすることで、新規市場のなかで独自の製品が提供でき、独自の利益を獲得できるようになる

 

ある技術が社内にあるとき、どんなルールを作ったらいいのか→その技術の使い方をルール化することで市場を作り出す

 

技術の軸はすべてクローズであるべきと捉え、社会においてその技術の使い方、 活かし方に関するルールを標準化する

 

例えばとても切れ味のよい包丁の製造技術がある場合、そのような包丁だからこそ作れる刺し身の品質を標準化するとよい。

 

自社単独の技術で、サービスを作り出せない場合は、当然他社と組めばよい。共同でルール化を行うことになる。

 

どうやって社内を説得してルール形成への参画を始められるのか?→抽象論による効用の説明だけでは不足で、定量的に市場が伸びることを示すとよい

 

そのルール形成で「自社にこれだけの利益アップをもたらすはず」「競合に議論をリードされると(自社商品・サービスの市場評価が下がり)これだけのシェアダウンのリスクがある」という数字での説明をできることがルールメイキング戦略の第一歩となる。

 

定量的な計算を実際に行うことは中々に難しいところがある。一つのやり方としては、収益構造をフィッシュボーンで分解し、バリュードライバーを特定してルール形成による寄与をシミュレートすることで、仮説ではあるが算出することができる。

 

参考文献には

 

社会的意義や中長期的な戦略性、また他社にルールづくりで先を越されてしまった場合の影響を語ったホラーストーリーを定性的に説いても、企業でルールメイキング戦略の初動をスムーズにすることにはつながり難い。

とあるが、これは会社によって意思決定における癖みたいなもので分かれるだろう。必ずしもホラーストーリーが効きづらい企業ばかりではないように思える。

 

今回は事業を伸ばす一つのファクターとして、「ルール形成」を紹介してみた。ぜひ検討してみてほしい

 

参考文献:

世界市場で勝つルールメイキング戦略 技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか